あおぞら歳時記 : 菖蒲と杜若
掲載日時: 2020-5-25 6:00:00 (124 ヒット)
菖蒲や杜若が美しく咲く季節になりました。
「いずれが菖蒲か杜若」という言葉があります。どちらも美しく優劣がつけにくいという意味であります。
この言葉の故事を紹介しておきましょう。
平安時代、源平合戦で有名な源頼政が菖蒲前と呼ぶ美しい女官を見て心を奪われ、何とか手に入れたいと考えました。すると、天皇は菖蒲前によく似た美しい女性を三人そろえ、「この中から菖蒲前を選ぶことができたら与えよう」と言いました。
頼政は困ってしまいました。そこで「五月雨に沼の石がき水越えていづれかあやめ引きぞわずらふ」と歌を返しました。(五月雨が流れ込む水はどちらから流れ込んだ水か困ってしまいます)
この歌に感じ入った天皇はこの女官を頼政に与えました。この故事から「いずれが菖蒲か杜若」という言葉ができたと言われています。
きりっと背筋を伸ばして立つこの美しさは、頼政ならずとも心を奪われ優劣はつけられませんね。