あおぞら歳時記 : 春を待つ
掲載日時: 2019-2-25 6:00:00 (35 ヒット)
寒い風の中にそこはかとなく春の陽射しを感じます。
昔の人達は、深い雪にとざされ、じっと家の中にこもり春を待っていました。
「春よ来い 早く来い」
春を待ち焦がれていたのですね。一月の年賀状にさえ、「迎春」「頌春」と書いて、春の来るのを待ちわびています。
日本語をみてもそのことがよく分かります。
春告魚と書いて鰊(にしん)と読みます。魚へんに春と書けば鰆(さわら)と読みます。
山里を歩いていますと、ホーホケキョという鶯の声が聞こえてきます。春告鳥とも書きます。香しい匂いの梅の花のことを春告草とか香散見草と書きます。
「梅一輪一輪ごとの暖かさ」(嵐雪)という句があります。梅が一輪咲くとほんの少しだけ春らしくなり、また一輪咲くと、またほんの少しだけ春が近づいてくるという、春を待ち焦がれる心情がよく表されています。
蝋梅の甘い香りが、お隣の庭からそっと漂ってきます。
待ちに待った春がもうすぐそこまでやってきています。